【レビュー】映画「PERFECT DAYS」を観た – この世界は本当はたくさんの世界がある

主人公の平山を通して人生とは生きるとは何か考えさせられる作品。

平山は朝5時か6時くらい外で掃除をするおばあさんが道をほうきで掃除する音で目を覚ます。おそらく目覚まし時計もかけずに朝焼けと音を習慣的に感じて起きる。人生を謳歌するとはどういったことだろう、社会や様々な価値観に挟まれ視野が狭くなってしまっていないだろうか。お金持ちになって理想を叶えたい人、恋愛や結婚、子供。安定を求める人、挑戦する人。果たして自分はどうなんだろうか…。

平山は人生を謳歌しているように見える。他人に干渉されずに好きなことをやる環境を作っている。朝起きてトイレの清掃業社で働き、1人で黙々と働き、移動の車で好きな音楽をカセットで聴き。昼は神社で食事をして木々の写真をフィルムで撮った。仕事終わりや休日は馴染みの店に行き、夜本を読んで寝る。

物事が1人で完結しているように思えるが、ところどころで他者との小さな接点が見えてくるのが面白い。自分と社会を完全に切り離しているのではなく来るもののみを受け入れる。一方から見れば変わり者、また一方からは魅力的でもある。

平山の劇中の少ない言葉の中に「この世界は本当はたくさんの世界がある」と言うシーンがある。平山の世界、掃除のおばあさんの世界、妹さんの世界、姪っ子の世界、その他色々な世界があって、それぞれはつながっているわけではなく別の世界であるということだ。なのであっちの世界へ行きたくても行けない、それぞれの世界を受け入れて生きるということだ。姪っ子に11の物語のヴィクターになっちゃダメだと、まずは世界を受け入れ、それから選べということだろう。

平山の家族関係の詳細は語られないが良いとこの長男で父親の期待に応えられなかったのを悔やんでいる様子でもあった。夢で見ているのは子供の頃の記憶かな?ただ実家が太いから割と余裕でいられるとも思ってしまったが…。

時代に流されて生きることが何か間違っているんじゃないかと思えてくる昨今、おそらくこれで良いんだという思わせてくれる希望のような生き方の作品。とても面白かった。


スズキロク
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